医師になられた経緯と、美容医療に携わることになったきっかけを教えてください。

24時間寸暇を惜しんで懸命に働き、人の命を救って感謝されている両親をみて、私も同じ仕事で人に貢献したいと思ったからです。
父親は数十年前の心臓カテーテル治療がまだ広がってない頃、その治療ができない地域に赴き、カテーテル治療をすることで当時救えなかった命をたくさん救ってきました。田舎なので人も医療資源も都会ほど十分にない病院で、24時間いつでも駆けつけ、カテーテル治療をしてより救える命を救おうと懸命に働いていました。その姿をずっとみていたので、私も医療で人に貢献したいと思うようになりました。

また学生時代に初めての美容・メイクのすばらしさに感動。自分のコンプレックスを解決し、さらに綺麗になることに喜びを感じ、化粧や洋服が一層大好きになり、自分なりに研究しのめり込んでいきました。ですが、学生時代は趣味と勉強は相容れないところがあり、同級生が勉強に無我夢中で奮闘しているところで美容という趣味に注力してしまうと勉強が捗らない、という所に当時は板挟みで辛かったです。
医者家系の親族に囲まれ自分自身も医療の道に進みたい。でも趣味の美容も突き詰めたいし、どちらを捨てることも出来ない。その両方を叶えられるものはないのかと調べつくし、美容医療という存在を見つけました。当時はまだ美容医療はニッチな存在でしたが、美容医療ならば双方の希望も叶えられ、自分のパーソナリティを活かして人の役にも立てると考えました。また、保険診療はマイナスをゼロの状態に持っていく医療で、自由診療はゼロをプラスにする医療。病気を治して健康に戻す医療もすばらしいのですが、体は健康なんだけどコンプレックスや悩みが障害となり、自信が持てない、人生楽しめない、という方に医療を提供して人生が急速に好転していくお手伝いをするほうがすごく好きな分野でした。人生を変わる方を目の当たりにすることが本当にやりがいを感じました。

先生は、ミセスジャパン（MRS.JAPAN）2019年全国大会で優勝、世界大会で７部門受賞にという輝かしい功績がありますが、参加されたご経緯を教えて下さい。

先輩ドクターが運営メンバーにいて、誘っていただいたことがきっかけです。ただ、最も大きな動機は、これまで美容医療に携わってきて、美容医療で外見だけを綺麗になっても、心がついていかない患者様を多く見てきたからです。外面的な美を手に入れても、結果いつまでも幸せを感じることができない女性を多く見てきました。メンタルと外見が上手く繋がっていないように感じていたので、ミセスジャパンに参加してメンタルや魅せ方を鍛えることで美容医療以外からも何か学び、より仕事に生かせるのではないかと考えました。出場するからには１位を取らないと説得力がないので、たくさんの本を読み、レッスンにも通いましたし、所作やマナー、ウォーキング、スピーチなどかなりの時間をかけて練習をし、努力を積み重ねていきました。

グランプリ受賞の経験が、クリニック経営に役立っている点を教えて下さい。

たくさんありますが、一つは全国大会で１位を頂いたことがさらに実績と自信となり、自分の中でもより説得力を持たせて美のアドバイスが出来るようになったとも感じています。美を提供するクリニックとして、肌をきれいにする、クマをなくすといったミクロなポイントだけでなく、その方が長期的に外見も内面も豊になれ、人生が好転していくサポートができている実感があります。コンテストを通じて、美とは何か、社会貢献とはなにか、女性が生き生きする社会のためにどうしたらいいかを絶えず考えていましたので、その考えがクリニック理念ややりがい、患者様とのかかわりに生きていると思います。

開業された経緯と、開業する上で苦労した点を教えてください。

これまで色々なクリニックで理想の美容医療を求めて働いてきましたが、どこも本当に勉強になりました。勉強して研鑽を積むうちに、もっとこうしたら良い医療ができそうとたくさんのアイディアが浮かびました。美容オタクだからこそ、人よりもこだわりが強い自分の価値観を形にして、人に喜んでもらいたいと「患者様に寄り添う最高の美容医療」の実現と探求をしていくために開業に至りました。常に知識をアップデートしながら、患者様の悩みを解消し、気持ちまで豊かになる医療を目指しています。
また開業する上では、一緒に働いてくれる人材探しが大変でした。妥協のない医療のために私の求めるクオリティと考えを浸透させることが難しかったです。スタッフ採用の際には、患者様の繊細な感情を察知して寄り添える感度の高さを持ち、患者様の幸せが自分の幸せと感じられる心の美しさを持ち、そして同じモチベーションで頑張ってくださる方を時間をかけて探しました。その甲斐があり非常に優秀で人間性も素晴らしいメンバーと毎日切磋琢磨できており、感謝しています。

クリニックとして大切にしている想いや、クリニック名に込められた想いを教えてください。

クリニック名は、悩みに悩んで期限ギリギリで決めました。自分の名前をクリニック名に入れる案もありましたが、私が前に出ていくのではなく患者様や働くスタッフが輝いて欲しいという想いで、自分の名前ではなく「六本木」という地名を名前に入れました。六本木という地名は東京にしかなく、高級感があってインパクトがあることも、このクリニック名を付けた理由の1つです。
当クリニックは、つねに患者様ファースト。患者様のニーズに全力でお応えしたいとの想いで運営をしています。患者様ファーストのオーダーメイド治療を実行することは本当に大変で、メニューにない最新の治療法を急遽施したり、別の新しい治療の方がベストだと判断すれば予定とは違う治療を行うことや、時にサービスとして特別な治療を追加することもあります。最低限必要な回数で効果が出るように治療を勧めますし、患者様が望んでも不要な治療ははっきりと必要がないと伝えるようにしています。オーダーメイド治療の実現のために、マニュアルどおりではないことが現場スタッフの負担になるのですが、「患者様ファースト」という想いに共感してくれているので、みな臨機応変に応えてくれます。
私自身、食事の時間は大急ぎで飲み込む程度(笑)で、ありがたいことに忙しい日々を過ごしていますが、ラクをしたいという気持ちは一切ありません。少しでも患者様と長く時間を過ごし、スタッフと話し合って良いクリニックにしたい。
今後新しいスタッフを採用する際も、この想いに共感していただける方に入っていただき、一緒にクリニックを作っていけたら嬉しいです。

美容医療へ転科や開業を志す先生にメッセージをお願いします。

「患者様のニーズをしっかりと汲み取ること」がとても大切です。これは簡単なようで非常に難しいことです。保険診療は医者の指示とコントロールが中心となり治療法を決め患者様を治しますが、患者様はそうではないことを求めている場合も多いです。例えばクマ治療といえば、これが得意、これが高い、これが楽という理由で治療法を選択しがちですが、いくつか選択肢を提示してメリット・デメリットを説明した上で、最適と思われる治療を提案しています。美容医療では、そういった繊細な配慮が求められますので、いかに患者様の立場となって考えられるかが大切だと思います。